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書評「胃癌の病理―微小癌と組織発生」
長与 健夫
1
1愛知県がんセンター研究所第一病理
pp.1445
発行日 1972年11月25日
Published Date 1972/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109014
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中村恭一君は癌研病理部に奉職する中堅パソロヂストで,ここ10年近く胃癌の病理組織とくに組織発生の問題に没頭してこられた.昔から胃癌の病理組織に専心してきた病理学者は少なくなかったが,いかんせん当時は対象とする材料の殆んどが進行癌か末期癌であったために,癌と非癌粘膜の組織形態の間の断絶が余りにも大きく,その間に橋をかける術がなかった.戦後胃癌の早期発見や早期治療の面での進歩は著しく,就中X線二重造影法や内視鏡検査法により胃癌の初期の姿を目の前にすることが可能になった.
このことは臨床医学の一大成果であるばかりでなく,病理学者が多年夢見ていたもろもろの断絶を埋めるに願ってもない好機会を提供することとなった.
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