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編集後記
西沢 護
pp.1115
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112605
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胃癌の浸潤範囲の決定は,古くて新らしい問題である.本号でこのテーマが再びとりあげられたのは,今までにそれだけ明確な解答がえられていないからである.
日常,切除線をきめるのに,外科側から噴門より病変口側までの距離を要求されるが,健常部分が確実に3cmあるかないかで,胃を少しでも切り残せるかどうかにかかっていると言われれば,ことは重大である.つい最近まで,外科側は相当にサバを読んで切除線をきめたり,術中に胃切開を行なって,肉眼でわかる所から5cmとか3cmとかはなれた所を切除線にきめていたのは,それだけ術前の診断に十分信頼がおけなかったからであろう.少しでも胃全摘を減らしたい,少しでも胃を余分に残したいという立場に立てば,せめて1cm以内の誤差で噴門から病変までの距離を明示したいのが,診断する側の本音であろう.
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