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編集後記
西沢 護
pp.594
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108941
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本年の1号,2号で多数の興味あるsm癌症例が呈示されたが,本号でsm癌の特集が一応終わることになる.その深達度診断の難しさを改めて再認識させられたが,おぼろげながらでも,sm癌の中で深達度診断の難しいグループがどのあたりにありそうかという輪郭は浮かび上がってきたような気がする.
本号では,sm癌の重要性が,リンパ節転移や予後や組織形態の面から詳細に論じられているが,同じsm癌でもsmへの浸潤の量で,かなり予後が異なることや,同じⅡc型早期癌でもUl(-)のものについては,m癌ではリンパ節転移が全くみられないのに,sm癌では4分の1近くも高率にリンパ節転移がみられるなど,今後どのようなsm癌の診断により十分な注意を払わなければならないかも示唆されている.リンパ節転移の多いsm癌や予後の良くないsm癌だけをもっと多く集めてその形態を分析する必要があろうし,sm癌という森林地帯を空から眺めて区分けするためには,もう少し足を踏み入れて何度か探索する部分が残されているように思われる.
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