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編集後記
西沢 護
pp.342
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109943
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学問の進歩には歴史がある.未来を夢みて未知の分野に挑戦した人,必要に迫られて最初に火をつけた人,止むに止まれぬ情熱からその時代の流れを抜け出て新しい方向に向かった人.新しいことをなすにも,それらを発展させるにも,人それぞれ異なった動機があろうが,「胃と腸」ができてから20年,現在の繁栄の基礎造りをされた諸先覚者にまず敬意を表したい.
大腸の診断学の進歩も胃の診断学のそれと大綱において変わりない.要は学問のどこに基礎を置いているかである.医学を志すものが最初に学ぶのが解剖学であり,次いで病理学である.神が創造した人間の正常の形態と異常との違いを見付けることが,診断学の初めである.形態学の上に立って,あらゆる方面に診断学が発展してきたという厳然たる事実は,今も変わるものではない.「胃と腸」は,その意味において頑固なまで筋を通し,それが正しかったことを証明した数少ない特色ある雑誌である.
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