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書評「大腸疾患アトラス」
白壁 彦夫
1
1順天堂大学
pp.1052
発行日 1975年8月25日
Published Date 1975/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112345
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よい本がでたものである.面白い.一気に読了できた.大腸疾患についての総合検査所見のアトラスという形をとっている.今までにみたような,単にX線検査とか,内視鏡検査だけ,というものではない.しかし,何といっても,ファイバースコープによるカラー写真と,生検組織,組織切片の写真との対比が見事である.その解説も,欧米の直訳ではない.経験に基づいた著者の主張と決断で筋が通っている.丁寧で要領よい解説である.
内視鏡検査の実技,方法についてもわかりやすく書かれている.これから内視鏡を行なおうとする人には欠かせない.挿入法は,今まで相当に経験を積んだ人でも,しばしば困難を感じるところである.ここを理論的に,腸管の走行の違いを十分に考慮し,case by caseについて,そのコツが書かれている.理論派である著者の経験と熟練の深さがしのばれる.偶発症や禁忌に対しても,慎重すぎるくらいにきびしく警告している.しかし,誇張が少しもない記述である.
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