胃と腸ノート
色素撒布法を応用した十二指腸球部粘膜の微細観察(3)―いわゆるシモブリ(サラミ)病変について
中島 正継
1
,
川井 啓市
1
1京都府立医科大学公衆衛生学
pp.1394
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112127
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いわゆるシモフリ(サラミ)病変は球部の潰瘍性病変の周辺にはごく普通に認められるものであるが,潰瘍性病変部からかなり離れた部位や,はっきりした潰瘍性病変を認めない球部に単独のシモフリ(サラミ)病変を認めることは比較的少ない.
図は球部全体に散在性および一部ビマン性に軽度の発赤を認め,十二指腸球部炎として経過観察中であった症例で,自覚症状の増悪とともに球部全体に散在性に発生したシモフリ(サラミ)病変の一部分のGIF-Dによる近接拡大像(0.2%インジゴカルミン液撒布)である.図のようにシモフリ(サラミ)病変の白苔(色素液によって淡青色に着色している)は淡雪あるいはアイスクリームが粘膜表面に附着したような状態で観察され,その周辺粘膜の絨毛は前回に述べた「イクラ型」絨毛とまでは変化していないが,やや浮腫状で,中心発赤も明らかである.生検ではビランおよび中等度から高度の炎症性細胞浸潤を認めた.本例の経過観察では,2週後には図のようなシモフリ(サラミ)病変の数はかなり少なくなり,大きさも小さくなっていたが,依然として認められた.しかし4週後にはシモフリ(サラミ)病変は全く消失し,軽度の発赤と絨毛の軽度不整を認めるのみとなった.
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