胃と腸ノート
色素撒布による胃粘膜の生体染色―腸上皮化生の内視鏡診断
井田 和徳
1
,
川井 啓市
1
1京都府立医科大学 第3内科
pp.1528
発行日 1973年11月25日
Published Date 1973/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108465
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間接色素撒布法と同様,粘液除去の前処置をおこなってから,生体染色色素であるメチレンブルーを経口的に投与すると,ある種の胃粘膜や,胃ポリープ,異型上皮が染まることを発見し,47年日本内視鏡学会総会に発表したが,ここでは胃粘膜の染色現象について,その後の知見を加えて述べてみる.
前処置液80cc投与後,メチレンブルー,0.7%20ccを経口的に投与すると容易に胃粘膜の青染現象を観察することができる.この際,胃粘膜表面の粘液を充分除去し,色素液が胃内全域に間接撒布されるように臥位による充分な体の回転が必要である.染色部位と染色様式には後述のようにある一定の様式が認められ,もちろん直視下に染色部を洗滌しても脱色しないことから,色素液がたんに粘膜表面に附着している現象でないことは明らかである.凍結薄切切片を作製して染色部粘膜を観察すると被蓋上皮層に同色素がとり込まれており,粘膜の染色は上皮層へのメチレンブルーのとり込みにもとつく現象であることが判った.その機序はまだ明らかでないが,本現象は一種の生体染色であると考えることができる.
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