胃と腸ノート
大腸の生検(1)良悪性の鑑別診断
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.1048
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111933
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近年大腸ファイバースコープの開発,進歩により回盲部までの観察と同時に生検が可能となった.生検鉗子は直達鏡のそれに比べて小さいが,診断に耐えられる程度のものはとれる.また最近では,治療的診断法として,ポリープ切除術が広く行なわれるようになった.
生検の目的は,いうまでもなく内視鏡で観察したものの組織学的裏づけを得ることにあり,その所見によって治療法を選択したり,あるいは治療の評価を下す.私ども臨床の実地において最も重要なのは,ある病変の良悪性の鑑別であり,大腸においても,特にポリープ性病変の良悪性判別は,ときにX線及び内視鏡検査では不可能で,生検に頼らざるを得ないことを経験している.病変の良悪性を決定すれば,次はそれに基ずく治療法の選択である.手術すべきもの,内科的に治療できるもの,放置して経過をみるものなどの決定がなされる.次に炎症の経過観察では,治療中に生検による治療効果の判定が行なわれる.潰瘍性大腸炎の生検による経過観察はその例である.さて疾患別の生検組織所見と生検の意義について述べる.
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