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書評「図説 胃病変の診断ポイント」
岡部 治弥
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1北里大学医学部内科
pp.782
発行日 1974年6月25日
Published Date 1974/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111912
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本書の内容は大きく二部に分けられている.第一部はいわば総論にあたる部で,胃病変の診断にあたってとして,1.胃X線検査による病変のとらえ方,2.胃内視鏡検査のあり方,3.早期胃癌とその周辺,の3項目を2,3の図表を示し,それぞれ診断学上の重点について簡潔に説明している.ついで第二部はいわば各論で,症例と診断ポイントと題し,現在の方法論でほとんど極限にまで達した内視鏡およびX線診断によって発見されるほとんどの胃病変を1,2例ずつ,X線写真,内視鏡写真,切除標本写真と図示し,その各写真の読み方の説明とともに,いわば結論的にその疾患についての最近の概念と診断のポイントが特に枠に囲んで,実に要領よく記されている.
本書の特徴は,この枠内に記された簡潔な解説にあり,それらはこの十数年間,日本において多くのその道の研究者,すなわち内視鏡X線病理の各専門家によって開拓されてきたそれぞれの疾患や興味ある主題についての新知識を,多くの代表的文献を参照しつつ要領よくまとめたものである.この枠内の解説文のみをまず読んでゆくのも楽しいし,この本のひとつの読み方であるともいえる.編著者らが最もカを入れたのはおそらくここではないかと想像する.
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