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書評「パーマー 消化器病学のポイント」
岡部 治弥
1
1北里大学
pp.1248
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107512
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別に大冊のClinical Gastroenterologyの著者でもあるE.D. Palmerは,現在Medical College of New Jerseyで教鞭をとっているが,本書はもともと同校における卒前および卒後の臨床研修に役立てるために,テキストブックの補遺として編んだものである.ところが学生や研修医の間ですこぶる好評を博したので,より多くの医師に広く利用してもらうことを意図して出版したという.したがって,文章はきわめて簡潔であり,箇条書き的ないし表示形式に記述されているところが多く,病態生理学や精しい説明は一切省いてある.しかし実際的な面は要領よく,かつ細かく記述されており,ベッドサイドの実地にただちに役立つ点が多い.また読者の参考のためを目的として臨床消化器病学における一部の説や仮説についてもとりあげ,できるだけ簡明に記述するように努めている.そして著者は議論は一切ぬきにして濃縮した記述をしているので読者がそこから深い思考を行うようその序文で希望している.
また現時点において学生に要求されている主題については十分考慮して幅広くとり入れたとしており,その記述は単に文献の評価や解釈を試みるよりも著者自身の観察と経験を大量にとり入れており,読者はそれを学び記憶すると共に最終的には読者自身が自分の経験と観察によって自分の結論をもってほしいと結んでいる.
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