Japanese
English
今月の主題 意外な進展を示す胃癌
主題
スキルス(Linitis plastica)の組織発生に関する病理学的ならびに生化学的研究
A Histopathological and Biochemical Study on the Histogenesis of Gastric Scirrhus (Linitis Plastica)
佐野 量造
1
,
下田 忠和
1
,
竹内 正
2
R. Sano
1
1国立がんセンター病理部
2東京女子医科大学消化器病センター
pp.455-465
発行日 1974年4月25日
Published Date 1974/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111792
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わが国で臨床的に“スキルス”またはBorrmann Ⅳ型癌と呼ばれているものは欧米の文献で記載されている“Linitis plastica type”の癌に相当し,進行癌のうちでも特殊な位置を占めている.すなわちスキルスは高度の膠原線維の増生を伴い,びまん性に胃壁の全層に浸潤し,胃全体は平板状に肥厚性の硬化をきたし,胃内腔は狭小となり,“leather-bottle”とも呼ばれる外見を呈する.その予後は胃癌のうちでも最も悪く,術後3年以内に,その大部分は死亡する.
臨床的または病理学的に通常の胃癌とは異なったスキルスの組織発生については,漠然と表層拡大型胃癌(superficial spreading types)の末期像であろうと推測されたり,また,その特殊性を考慮することなく,単純に癌の早期発見がおくれたための結果であろうと考えられたり,これに関する系統的な病理学的研究は少くない.また,スキルス,Borrmann Ⅳ型癌の概念および定義についても,わが国では臨床および病理の見解がかなり異なり,この問題は第15回胃癌研究会(1972)において活発に議論された.
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