Coffee Break
Borrmann 4型癌,スキルス,linitis plastica の用語の混乱について思うこと
中村 恭一
1
1筑波大学病理
pp.289-290
発行日 1983年3月25日
Published Date 1983/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109330
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毎年1回の胃癌検診を行っている健常人に,ある時点でX線的に急に胃全体の管状収縮あるいはleather bottle状態となっていて,その時点では既に手遅れであるような場合が少なからずあります.このような症例に対して,現在,Borrmann 4型癌,スキルス,linitis plastica型癌,1initis plasticaなどと呼ばれていて,用語の混乱があります.それらは,同じ癌組織型であって,linitis plastica型癌はBorrmann 4型,スキルスと呼ばれている類に含まれています.しかし,linitis plastica型癌はBorrmann 4型とスキルスとは,癌の進展過程,肉眼形態,そして臨床的には早期診断が困難であるとともに予後の極めて悪い状態の癌である,という点で異なっています.したがって,linitis plasticaをBorrmann 4型あるいはスキルスから独立させた1つの群あるいは類とする必要があるかと思います.
Linitis plastica(Brinton,1852)の用語は,当時は癌ではなく炎症性病変であるとみなされていたので-itisがついています.しかし,現在ではこの用語は正しくはなく,慣用的に用いられています.Linitis plasticaと呼ばれている型の癌にふさわしい用語があれば,その用語を用いるのがよいと思います.
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