Japanese
English
今月の主題 意外な進展を示す胃癌
主題
X線像の推移からみたスキルスの伸展障害に関する知見
On Impeded Distensibility of the Gastric Wall in Scirrhus Carcinoma Studied from Changes in Roentgenograms
笹川 道三
1
,
岡崎 正敏
1
,
高杉 敏彦
1
,
牛尾 恭輔
1
,
木下 昭雄
1
,
松江 寛人
1
,
土井 偉誉
1
,
市川 平三郎
1
,
萩原 健一
2
,
山田 達哉
2
,
山本 鼎
3
,
堀越 寛
3
D. Sasagawa
1
1国立がんセンター放射線診断部
2国立がんセンター集団検診研究部
3独協医科大学放射線科
pp.445-454
発行日 1974年4月25日
Published Date 1974/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111791
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一般に,年余にわたる胃がんの推移をそのX線像について遡及的に分祈検討する方法は,あらかじめ病変を適確に捉えた上で一定の撮影方式と観察期間を設定して行なう良性病変の「経過観察」とは本質的に異なり,しかも方法論的に多大の困難性と制約を伴うものである.それは,客観的資料の収集の困難性によるものであり,また得られた資料の情報量の乏しさによる検討事項の制約である.これは,端的といえば病巣が十分に描写され,しかも誤診が繰りかえされたものほど資料としての有用性が高いという皮肉な特殊性に起因するもののようである.
一方,最近10年来のX線および内視鏡的診断技術の向上により,上述の困難性が以下のようなかたちで取り除かれつつある現状である.すなわち,病変は正しく捉えながら,初期の診断未熟の時期に良性と診断されたものや,良悪性の鑑別が困難であったものの追跡,あるいは胃生検まで含めてがんと確診したにかかわらず手術を拒まれたものの追跡により,早期胃がんやある種の進行がんの経過が次第に解明されてきた事実もある.
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