胃と腸ノート
肝悪性腫瘍の血管造影の意義とX線所見(1)
有山 囊
1
,
池延 東男
1
,
大橋 計彦
1
1順天堂大学消化器内科
pp.1532
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111703
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本邦では原発性肝癌はしだいに増加する傾向がみられ,日本剖検輯報の資料から原発性肝癌の剖検例は1958年に人口10万人につき0.19であったのが1970年には0.74となり,12年間で3.9倍の増加である.一方,その予後は悲観的で5年生存率は0に等しい.治療成績を向上させる唯一の方法は,癌が小さい範囲に限局し,転移がない状態で診断して外科的に切除を行なうことである.化学療法も近年,格段に進歩したが現在はまだ延命効果が期待できるだけで肝癌を治癒させるまでには至らない.
今まで肝癌の診断方法としてシンチグラフィー,血管造影,超音波診断法,胆道造影,腹腔鏡,肝生検および生化学検査などがとり上げられてきたが,これらの検査法は診断能に限界があって1つの検査法だけ行なっても肝癌の早期診断には効果があがらなかった.われわれは肝癌に対して血管造影を昭和47年4月から腹腔鏡,肝生検と併用して形態学的診断を行なってよい成績を得ている.今回は肝癌診断への血管造影の有効性と,これら3つの検査法の総合診断の有利性について述べる.
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