Japanese
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入門講座・10
小腸X線検査の実際
Radiological Examination of the Small Intestine (10)
八尾 恒良
1
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学筑紫病院内科
pp.1247-1250
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111504
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②偏側性変形
欧米ではasymmetric segment,asymmetric involvementなどの記載がみられる.しかし,変形そのものに着目して診断しようとする傾向に乏しく,偏側性変形についての記載は少ない.本邦では片側性狭窄(中村裕一ら,1975),偏心性狭窄(政ら,1978),偏側性硬化像(八尾ら,1978)などと記載されている.いずれも腸結核とCrohn病の鑑別のための所見として,腸結核の両側性変形に対する対照的所見として用いられている.しかし,Crohn病の偏側性変形は腸間膜付着側の長い縦走潰瘍に基づく変形であるので,長い範囲に及ぶことが多く,腸結核の輪状,帯状潰瘍に基づく比較的短い範囲の両側性変形とは明らかに異なり,同列に論じる所見ではない.
Fig. 1はその1例で,充盈像(a)では20cm以上にもわたる偏側性変形が描出されているが,腸結核の両側変形と異なり“狭窄”は著明でない.二重造影像(b)で,この変形が縦走潰瘍による所見であることが理解される.この長い縦走潰瘍は場所によってその深さ,幅,活動性が一定ではなく,また縦走潰瘍の近傍,横軸方向に種々のsatellite ulcerを伴っているので,縦走潰瘍が位置する腸間膜付着側の反対側からの“ひきつれ”も一定ではない.すなわち,腸間膜付着側反対側の辺縁も不整となる.白壁,政らは,この所見が十二指腸潰瘍のタッシェ形成の機序と同じであることに着目し,矢印1,2などの所見も偽憩室形成またはタッシェ様変形と呼んでいる.
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