Japanese
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入門講座・11
小腸X線検査の実際
Radiological Examination of the Small Intestine (11)
八尾 恒良
1
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学筑紫病院内科
pp.1365-1368
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111592
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③その他の変形
前回までに腸管の変形の代表として両側性変形と偏側性変形について述べた.しかし,変形には種々の程度のものがあり,変形がないから病変がないというものでもない,また,充盈像,特に経口法による充盈像では蠕動運動のために,丁度良い具合に伸展された充盈像が撮影できず病変のための変形か機械的な所見か判断ができないことがある.例えばFig. 1aでは(1)の部は明らかに両側からの彎入様所見と短い硬化像が見られ,呈示していないその他の写真と合わせて,Fig. 1b,cの病変1による変形と考えられる.しかし病変1から約2.5cm離れた短い線状陰影,病変2による所見はFig. 1aの上には指摘できない.むしろ,矢印?の部は何らかの病変のための所見と考えられるが,二重造影像の上には病変を指摘できない.恐らく矢印?部肛門側の充盈不良と機能的なものによって形作られた所見であろう.ま,Fig. 2aの経口法では,retrospectiveには棒線の部の辺縁にKerckring皺襞を認めることができず,いわゆる辺縁硬化像を示している.しかし,実際のルーチン検査ではこの所見は見逃された.現在の目でみて,もう一度このような所見に遭遇することがあっても,これを的確に拾い上げる自信はない.
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