Japanese
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入門講座・8
小腸X線検査の実際
Radiological Examination of the Small Intestine
八尾 恒良
1
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学筑紫病院内科
pp.1009-1012
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111366
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2)Kerckringひだの変化―〔2〕
②皺襞数の増加(縦軸方向への伸展障害)
前回主として腸管の浮腫に基づく区域性の皺襞幅の肥厚について述べた.この反対の所見,すなわち単位面積当たりの皺襞数の増加は進行性全身性硬化症(PSS)の場合によくみられる所見である.Fig. 1はその典型像であるが,渕上ら(1982)によると,経口法では腸管の拡張があるが,皺襞山幅は正常,谷幅は狭いという.そして二重造影のために遮断剤を静注すると腸管幅は更に拡張し,皺襞山幅は軽度に縮小し鍍襲谷幅はより一層狭くなったという.この所見はPSSでは腸管の筋層が障害されて縦軸方向への伸展性が障害されているために横軸方向への過伸展が起こったための所見と解釈している.
欧米では,この所見は“hide-bound” appearance(HorowitzALら,1973)として知られ,食道,十二指腸の拡張と共にPSS特有の所見とされており,この所見が皮膚症状を欠くPSS(PSS sine sclerodermia)の診断根拠ともなっている.
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