技術解説
胃潰瘍の内視鏡診断
福地 創太郎
1
1虎の門病院消化器科
pp.1689-1693
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111240
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胃潰瘍は胃の病変の中でも,ありふれた疾患であり,胃の内視鏡検査を手がける者にとって,その診断は初歩的なイロハに属することのように思われるが,実際には,胃潰瘍といっても急性潰瘍もあれば慢性潰瘍もあり,大きさ,深さ,形態は種々様々であり,さらに胃潰瘍の病期に応じて,また再発再燃を反復することにより,その内視鏡像は千差万別の変化を示すものであり,その経過中のある時点においては,悪性変化と紛らわしい所見を呈する例は決して少なくない.
一方,早期胃癌の中でも,陥凹型早期胃癌の多くは,その病変内に潰瘍を併存しており,潰瘍ないし潰瘍瘢痕を母地にして癌が発生するか,あるいは表在性の癌病巣に二次的に潰瘍が生ずるか,いずれにしても,この種の病変の多くは,良性潰瘍との鑑別診断が問題になる.また梅毒,結核や胃肉腫あるいはreactive lymphoreticular hyper plasiaなど,潰瘍性病変を主体とする病変は多い.
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