印象記
第2回世界内視鏡学会(第2部)に出席して
原 義雄
1
1新潟県立がんセンター内科
pp.1694-1695
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111241
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第2回世界内視鏡学会第1部は,ローマで7月1~3日に行なわれたが,第2部が7月9~11日コペンハーゲンのUniversitetspackenのDrsted Instituteで開かれた.ローマの豪華なホテルと対照的に,簡素な大学のゼミナール講堂の5つを使用して行なわれた.世界消化器病学会の直前ということもあり,熱心な参加者でどの講堂も一杯であった.ローマでは開会式には5~600人位はいたはずの参加者は,学会になると各会場とも,30~50名に減っていたのに反し,コペンの場合は何れも終始超満員であった.
Wiebenga会長の挨拶で始まり,Schindler Memorial Lecturesが行なわれた.最初の講演者が田坂定孝先生で,日本で開発された胃カメラから始まり,ファイバースコープ,直視下生検細胞診,十二指腸ファイバー,胃粘膜温度の測定,グラスファイバーの改良に関する基礎的実験等々,進歩した新しい内視鏡の変遷と,将来への展望が述べられ,日本のこの方面での基礎的,臨床的研究を遺憾なく紹介され,格調高い,そして内容豊かなもので,教育的であり,多くのこの方面の外国の研究者を刺激するところがあった.第2の講演者はアメリカのColcherで,内容は殆ど記憶していないほど貧弱で,ただ警告として,データの収集のための内視鏡検査は避けるべきで,この検査は患者の診断と治療に直結していなくてはならないと述べていた.第3の講演者は,ドイツのHenningで,結局Schindler先生の人格と業績を称え,内視鏡の器械がもっと安くなること,それと同時にこれを駆使できる専門家の養成が急務であると述べていた.
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