今月の主題 慢性胃炎2
綜説
術後胃炎
中島 敏夫
1
1大阪大学医学部西川内科
pp.1399-1405
発行日 1967年11月25日
Published Date 1967/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110459
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.はじめに
胃手術後の切除残胃と胃炎に関する研究は臨床像,レ線像,胃液分泌,内視鏡あるいは組織像など種々の面から検討せられ,幾多の臨床的興味のもたれるところであるが,その存在の有無,成因,進展過程などについても多くの見解があり,なお未解決の点が少なくない.たとえばその組織像についても,一般の非手術胃にみられると同様の表層性,萎縮性胃炎であるという成績がある一方,術後胃炎としては特有な組織像を認めるものであるとの見解もある.
またその粘膜所見が,術前に存在する胃炎の継続であるのか,胃手術のために起こってきたものなのか,あるいは術後胃の機能障害によってひき起こされたものであるのか,などについても種々異論のあるところであり,この問題の解明はきわめて困難である.
最近内視鏡の進歩,ことに胃カメラやファイバースコープの導入,生検法の進歩は病理組織学的検索と相まって,残胃粘膜の観察を可能ならしめ,再びこの問題についての検討が加えられつつある.
われわれもこの問題について臨床的,実験的研究を重ね,その成績を屡々発表してきたが,ここではそれらを中心に,切除残胃胃炎の病態について検討を加え,更にその成因について考察する.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.