今月の主題 小腸
綜説
消化管,主として腸管の外科的病理 最近の知見―自験例を中心として
桜井 勇
1
,
河野 均也
2
,
児泉 肇
3
1日本大学医学部第2病理学教室
2日本大学医学部臨床病理学教室
3日本大学医学部第3内科学教室
pp.1521-1527
発行日 1967年12月25日
Published Date 1967/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110435
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Ⅰ.序
生検手術材料の病理検査の対象として,消化管の占める頻度は高いものがある1).しかし,早期胃癌に対する精力的な諸研究を除くと,この分野におけるわが国の病理医の関心は高いものとはいえない.病的状態における消化吸収という消化管の主要な機能の変遷に対する形態学的解析ならびにその意味づけについての研究も,これまで乏しいものであったといわざるを得ない.近年,腸炎,Malabsorption症候群あるいは蛋白漏性胃腸症が注目され,その診断手段として,放射性同位元素を利用する方法と共に,小腸粘膜生検2)3)も行なわれ始め,近時,わが国においてもこの方面へ病理医の目が向けられ始めている4)5).また,このように検査対象として頻度の高い消化管疾患の中で,従来は他の疾患と誤まられていたり,あるいは,他の名称の下に包含されていたものが,独立疾患として分離されてきている.
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