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書評「Radiology of the Small Bowel」
多田 正大
1
1京都第一赤十字病院第2内科
pp.1364
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110135
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小腸の検査はX線,内視鏡検査を問わず煩わしいものである.長く,面積としても広い小腸をくまなく造影・観察することが難しいこと,苦労のわりには上部消化管や大腸ほど病変が多くないこと,などが今日の小腸の形態診断学の進歩を妨げている.
このような時期にYMC Chenらが編集した“Radiology of the Small Bowel”が発行された.私自身,Dr. Chen とは直接面識はないが,彼はしばしば消化管X線診断学についてシャープな論文を報告しており,注目していた医師の1人である.改めて本書にしるされた彼の肩書を見て驚いたことに,彼は放射線科医であることを知った.なぜなら,彼の過去の論文を読んでみても,X線診断のみにこだわることなく,患者の症候や病因なども考慮に入れて理論展開する姿勢が好ましく感じられ,彼はてっきりgastroenterologistであると思っていたのである.ともあれ,Chenとその仲間達がかくも立派な小腸X線診断学をまとめたことに対して,驚きと敬意の念を抱いている.
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