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書評「Irritable Bowel Syndrome」
岡部 治弥
1
1北里大学
pp.1222
発行日 1983年11月25日
Published Date 1983/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109268
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本邦の過敏性(大)腸症候群研究の歴史における,草分けとも言うべき3人の分担執筆になる共著である.A5判132頁の著書であり,休みの1日ゆっくり読ませてもらったが,その内容は極めて濃く,本症候群については理解しているつもりであった私にとっても,大変勉強になった.著者の3人は,人も知る心身医学に造詣の深い方たちであり,また,併せて消化器疾患と心身医学の相関に特に関心の深い方々である.したがって,心身医学的面からの分析が極めて細やかであり,全体として教わる所が多いと言える.序文によると,本症候群の存在が本邦において注目されるようになったのは,1967年名古屋における第53回日本消化器病学会総会で過敏性大腸症候群というテーマのシンポジウム(司会:松永教授)が初めて取り上げられたのが,きっかけであり,その折のシンポジストが,3人の本著者方であった由であるが,以来,わずかに16年の間に,本症の概念は消化器病学の分野において欠くことのできないものとなっており,現在消化器病学に関心を持つ医師で,これを知らぬ者はないほどまでに一般化し,かつ診断名として頻用されているものである.
さて,本書の内容は,大きく総論,診断,治療の3部に分けられ,総論については並木,診断については川上,治療については中川の3教授がそれぞれ執筆されている.
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