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書評「Radiologic Diagnosis of Polyps and Carcinoma of the Large Bowel」
武藤 徹一郎
1
1東京大学第1外科
pp.906
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107366
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食生活の西欧化に伴って,近年わが国の大腸疾患の頻度が上昇しつつあることは周知の事実である.胃疾患でもそうであったように,大腸疾患においてもX常診断のはたす役割が広くそしてまた大きいことは説明するまでもないであろう.大腸疾患の半数以上,おそらくは2/3近くが癌とポリープによって占められているといってよい.その2/3を占める疾患のX線診断学を扱った名著「大腸の癌・ポリープのX線診断と病理」の英文版がここに出版されたことは喜びにたえない.症例と写真が大幅に追加されているばかりか(468図),内視鏡写真も加えられて内容が一層充実したものになっており,X線写真の印刷も日本語版よりきれいに見える.また,写真とその説明をそれぞれ別にまとめたために各頁がすっきりしてもいる.わが国において大腸疾患への関心が高まりつつあった1974年に,本書の母体となった日本語版が出版され,その見事な注腸造影写真の数々に驚嘆したものである.この事が新しい注腸造影法の普及と向上に及ぼした影響は決して少なくなかったであろう.この頃から大腸二重造影法の一般的レベルは飛躍的に向上してきていると思われる.また,本書に示されているような大腸X線検査の理論に加うるに立派な手本,目標があることは後から続く者達にとって大変ありがたくはげみになるに違いない.英文版の出版によって,欧米諸国に丸山博士の大腸X線診断学の理論と実際とその思想がより広く伝えられる機会が生れたことはまことに喜ばしいと思う.本書は欧米の専門家にも多大の影響を与えずにはおかないだろう.
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