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明治2年,新政府によりドイツ医学を取り入れることが決定されて以来,第2次世界大戦が終了するまでの約80年間,日独医学の交流は極めて密接であったことを知らない医者はないであろうが,更にその二百数十年前に溯ってオランダ医学(蘭学)と言われてきたものが,実はドイツ医学に端を発し,またドイツ人医師が蘭医と詐称して来日していたこと,言ってみれば日本における西洋医学の淵源はドイツ医学であったことを知る人は少ないであろう.
今回,畏友比企教授より本書を手渡され,表題をみて年数の多さに,まず意外な感じを受けた.また,この3年ほどはお互いに少し離れた職場にいるが,時々会っていたにもかかわらず,このような本の企画を進めていることは全く知らなかったので,見るからに堅牢なドイツ装丁の本を手に受けたときには大変驚いた.聞けば,この本は数年前に,氏の親友であるクラース教授からの相談を受け,両人でいろいろ企画を練り,苦労を重ねてきてついに完成したものであり,その間助手を務めた夫人もドイツ語論文内に現れる日本人名の同定に大変な時間と苦労をしたとのことであり,夫妻共々の労作に心からお祝いの言葉を述べた.ほどなく,出版社から,書評の依頼状が送られてきた,その依頼状には,この書の特徴が実に簡潔,適切に記述されていた.すなわち,“本書は,日本とドイツの医学を巡る300年に亘る交流関係を,医学の現場にある両国の50人がドイツ語と日本語で纏めた,他に例を見ない力作です.遠く離れた2つの国の間で,このような協力関係が医学という一分野を巡って連綿と築かれたという歴史には誠に興味深いものがあります.これまでに纏まった形では公開されることのなかった歴史の一こまを後世に残し,今後の学問に於ける国際協力の在り方を考える一つのヒントを本書が投げ掛けることができれば,とスタッフー同願っております”とあり,まさにそのとおりと言えよう.
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