学会印象記
第27回日本消化器病学会印象記
成澤 林太郎
1
1新潟大学第3内科
pp.55-56
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110045
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11月というのに汗ばむほどの陽気の中で,第27回日本消化器病学会が1985年11月7日から3日間,太田康幸会長のもと,松山市で開催された.5題の特別講演をはじめ,シンポジウム2題,パネルディスカッション5題,ワークショップ5題,それに主題関連ポスター101題,一般演題670題(口演221題,ポスターセッション449題)が加わるという規模の大きな学会であった.その膨大な数の演題をすべて聞き,内容を紹介することは,到底不可能なことであり,必然的にこの印象記が筆者の興味を持っている分野に限られてしまうことを最初にお詫びし,お許し願いたい.
第1日目のシンポジウム「胆囊癌の早期診断」では,活発な討論がなされた.早期胆囊癌の肉眼形態で,表面型の占める割合が病理と臨床では明らかに異なっていた.早期胆囊癌に占める表面型の比率は,病理では70~80%と高率であるのに対し,臨床のそれは施設により差はみられたが,かなりの低率であった.臨床で,表面型を術前に診断することは現在の診断学ではかなり困難であることや,切除例の肉眼標本の検討が十分になされずに代表切片のみで組織学的検索が行われている施設が多いなどの理由が,この相違を生んだものと思われる.このシンポジウムを通じて,表面型の術前診断が今後の大きな問題として残されたわけであるが,それと同時に,早期胆囊癌の定義も詳細な予後調査を踏まえ,今後検討し,統一されるべき重要な課題である.
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