動き
「日本精神病理学会第17回大会」印象記
下地 明友
1
1熊本大学医学部神経精神科
pp.106-107
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903813
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日本精神病理学会第17回大会は,大宮司信北海道大学医療技術短期大学教授の会長のもとで,1994年9月21日と22日両日,札幌は北海道大学学術交流会館とクラーク会館で開催された。プログラムは,3つの会場に分かれて,一般演題73題に加え,山下格教授(北星学園大)を迎えての特別講演,そして,「宗教・信仰と精神病理」と題されたシンポジウムという構成であった。
「臨床精神病理学の方法をめぐって―症例検討・学説・統計」と題された山下教授の特別講演では,方法の定義の自己点検の要請と「学説」というものへの疑義が出された。拝聴しつつ,私は土居健郎氏の言葉を想起していた。名著「新訂方法としての面接」で,氏は,臨床自体が1つの基礎科学であること,真の意味での臨床研究の重要性に医学研究者が目覚めていないこと,と結論している。日常の臨床の中で,「患者自身に語っていただく」ことを中心にすえ,臨床的治療的分類として抽出されたものが「若年性周期性精神病」であるということを納得しながら,その背景に控えているものは,治療の鉄則Primum non nocere(害を与えないことが第一だ)であることを,私は連想していた。
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