胃と腸ノート
電子内視鏡(electronic endoscope)
竹本 忠良
1
1山口大学医学部第1内科
pp.316
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109935
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ヒスタミンH2受容体拮抗剤の開発史においては,英国の基礎研究陣の底力を見せつけられた思いである.つまり,わが国の基礎研究と臨床への橋渡しが弱体であることを痛感させられた.消化器内視鏡の世界では,1960年前後にファイバー光学系の原理の追究と実用化への努力において,当時内視鏡王国とうぬぼれていた日本が,ファイバースコープを開発する能力がなかったことを思い知らされた.
そして,今度は電子内視鏡(electronic endoscope),video-endoscopeの登場である.アメリカのNew YorkのWelch Allyn社の製品である.すでにこれを試用した論文は,Classenら(1984)1),Matekら(1984)2),Sivakら(1984)3)と相次いで発表されている.現在のところ,gastroscopeとcolonoscopeの2種が発売されている.このような新しい内視鏡は,イメージファイバー束を使用していない.スコープの先端にソリッドステートのimaging sensorがあり,video processorにimage signalを伝える.われわれは,日本に輸入された1号器を使う幸運に恵まれた.つまり,なけなしの研究費をかき集めて購入しのであるが,予想以上の性能を持っている.スコープ全体の柔軟性は良好で,像もたいへんシシャープで,色の再現性も優れている.ただ,改良が必要なことは,ファイバースコープのアングル操作などの耐久性とモニター画面の記録写真撮影の簡易化などであろう.
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