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書評「標準外科学」
和田 達雄
1
1東京大学
pp.182
発行日 1977年2月25日
Published Date 1977/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112476
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今日のように医学が専門分化してくると,学生や研修医に外科学を教育する場合,その範囲をどの程度にとどめたらよいか悩むことが多い.すべての外科の分野に通暁する教育者というものは,もはや存在しえないから,この範囲の決め方は各分野を担当する教官の合議にゆだねられる.専門家は日常,自分の分野の症例しか扱っていないから,その疾患がきわめて重要でしかも頻度の高いものと錯覚しやすい.したがって,この合議というものが曲者で,各分野の教育に平等な時間と空間を与えるということで意見の一致をみることが多い.
外科学の教科書についてもまったく同様で,分担執筆にならざるを得ないが,各執筆者の受け持つ頁数はややもすると悪平等ということになりかねない.筆者は学生や研修医に用いる外科学の教科書を評価する場合に,まず各分野に対する紙面の割当てに注目することにしている.将来外科医になるとはかぎらない若い人たちに対する書物は,当然総論的でしかも実地臨床に則した項目を重視すべきであろう.
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