--------------------
編集後記
八尾 恒良
pp.116
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109677
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
学会雑誌の編集会議に出席した.丁寧に処理され自分の主張を科学的に論述した論文は極めて少なく退屈した.そのすぐあとで,あるプロカメラマンの話を聞く機会を得た.数多くのきれいなスライドを示しながら,プラスチックはプラスチックらしく,鉄は鉄らしく,その質感・量感を表現するのに苦労しているという趣旨の話が心に残った.引き続いて内視鏡学会に出席した.そして数多くの講演を聞いたが,心に残る講演内容はほとんどなかった.押すだけで写る完全自動のカメラで撮影した写真で,プロカメラマンに挑戦するような内容を述べた演者が少なくなかったことが印象的であった.
本誌も発刊以来20年目を迎えようとしている.内視鏡学会は二十数年を経ている.しかし,最近の写真や論文はずっしりした手応えのあるものが減少し,まさに最近の軽薄短小ですべて平等の時代にふさわしい内容に移行してきているように思える.押すだけで写る完全自動のカメラもそれなりの役割りを果たしていることは否めない.しかし,それでは量感や質感は表現できないし,プロカメラマンも育つまい.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.