Japanese
English
今月の主題 膵癌の治療成績
序説
膵癌の治療成績は向上しているか
Introduction
古賀 成昌
1
N. Koga
1
1鳥取大学医学部第1外科
pp.1175-1176
発行日 1984年11月25日
Published Date 1984/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109551
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- Abstract 文献概要
CT,USなどの画像診断を中心とした最近の各種診断法の進歩によって,2cm以下の小膵癌の診断例もみられるようになった.しかし,残念ながら,膵癌全体の治療成績は他の消化器癌のそれと比較して,今なおはるかに不良であり,膵癌の治療成績向上にはほど遠いものがあるというのが現状であろう.膵癌の中でも乳頭膨大部癌や膵内胆管癌では,比較的良好な成績が得られてはいるが,膵頭部癌,膵体・尾部癌の治療成績は,実に惨惚たるものと言わざるを得ない.
膵癌の治療成績向上を阻んでいる要因として,まず第1に早期診断,早期治療の難しさである.外科治療に回ってくる膵癌の多くは極めて進行したもので,切除不能となる例が多い.1982年の膵癌全国集計の成績をみても,切除率は26%と,他の消化器癌に比べると著しく低率である.治療成績向上を阻む2第の要因として,発育・浸潤様式,脈管内侵襲などにみられる膵癌の示す生物学的特徴が挙げられよう.
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