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編集後記
丸山 雅一
pp.1380
発行日 1984年12月25日
Published Date 1984/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109535
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1980年,Hamburgで行われた第4回ヨーロッパ消化器内視鏡学会でKlassenが超音波内視鏡を世界に先駆けて発表した日,深夜のバーでオリンパスの某氏に国賊と叫んで詰め寄ったのは,この9月に急逝された相馬智教授と筆者だった.少し皮肉のきいたジョークを会話の中に絶やすことのないいつもの相馬先生らしくなく悲憤慷慨されていた姿を憶い出させてくれたのは本号の竹本教授の序説である.
超音波内視鏡が消化管の形態学的診断に一大変革をもたらした意義は大きい.大切に育てあげ,世界の内視鏡の歴史に残る息の長い仕事になって欲しいと念じることしきりである.相部氏には胃癌診断の先輩として注文がある.陥凹性早期胃癌で線維化を伴わないものはわずかである.線維化の程度と癌の組織型を加味した超音波像を深く掘り下げて追求してもらいたい.そして,X線・内視鏡診断は“胃の粘膜面の変化より深達度を推定する”といった皮相的見解を越え,それが創りあげた深遠な世界を知って欲しい.
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