今月の主題 大腸sm癌
主題症例
A 内視鏡的ポリペクトミー後に経過観察している例
2.内視鏡的切除後再発を認めなかったS状結腸亜有茎性sm癌の1例
池永 達雄
1
,
中島 哲二
2
,
安達 実樹
3
1虎の門病院消化器外科
2虎の門病院放射線診断学科
3虎の門病院病埋学科
pp.798-799
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109386
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〔症例〕70歳,男性.以前より呼吸機能障害のため外来治療を受けていたところ,約1力月前より易疲労感,息切れがひどくなり,Hb 4.6g/dlの貧血が認められて精査のため,1973年8月2日当院に入院した.胃X線検査,胃内視鏡検査により,胃穹窿部に直径約5cm有茎性のポリープが,また大腸X線検査,大腸内視鏡検査により,S状結腸口側部に直径1.5cm亜有茎性不整形ポリープが認められたが,呼吸機能障害のため両病変とも同年9月14日内視鏡的に切除された.病理組織学的検索の結果,大腸のポリープはsm癌で癌の先進部は断端に達しており,摘除は不完全と判断されたため,開腹して大腸癌としての郭清切除手術の適応とされたが,重篤な呼吸機能障害と本人の希望により,そのまま経過が観察された.切除後貧血も輸血と増血剤で回復,元気に家業に励むことができるようになった.4年3カ月後に行われたバリウム注腸X線造影検査では,ポリープ切除部位に異常を認めず,4年10カ月後に行われた血液諸検査でも,血糖値の上昇以外には異常を認めなかった.切除後6年して不幸にも事故により不慮の死を遂げたが,死亡時まで病変の再発を思わせる症状はなかった.
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