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編集後記
村上 忠重
pp.1110
発行日 1973年8月25日
Published Date 1973/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108618
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早期胃癌と線状潰瘍の特集をしようということになったが,もちろん,このような例を沢山持っている施設はそんなにない.そこで症例を公募しようということになり,多数の方から応募していただいた.しかし収容できる紙数にも限りがある.そこで大変残念ながらお返しする例が多かった.せっかく応募させておきながらとお感じになっている方も多数いらっしゃることと思い,深くお詫び申し上げる.こうしたむだをさせまいと思って,はじめは症例の有無だけを御通知願い,返事のあった方のうちで条件の合致した方にだけ投稿を依頼する形をとりたかったが,こういった手数のかかる方法は編集部から断わられてしまった.そこでいきなりはじめから投稿を求めるという形をとらざるを得なかった.いきさつを記してお詫びする次第である.
さて掲載症例から何らかの結論が得られたかというと,私のみならず,白壁さんも崎田さんも結論を出すのに苦慮されたようである.私は論文の中に書いたように潰瘍が先か癌が先か,の問題をここでもまた結論づけることができなかった.むずかしい問題だということを,あらためて感じさせられた次第である.それもそのはずで線状潰瘍自身の発生機転がまだ十分にわからない.今までのクラシックな病理組織学的な研究方法を脱却しなければならないのかもしれない.
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