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書評 臨床検査技師のための 血算の診かた
池本 敏行
1
1阪医大附属病院中央検査部
pp.1537
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201462
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検査技師が出合って良かったと思える一冊
本書の書評を書くにあたり,評者は『臨床検査技師のための血算の診かた』というタイトルに興味を抱きました.なぜかというと,臨床検査技師(以下,検査技師とします)であれば,誰もが口にすることをためらってしまう,“診断”の“診”という文字が使われていたからです.まず,タイトルに惹かれて読み進めました.読み終えた今,期待以上の本であったと感じています.
この本は,著者が医師向けに書かれた『誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方』(医学書院,2011年)の姉妹本ですが,血算データを病態診断につなげていくというスタイルは同じです.症例数は医師向けの本よりは少ない35症例ですが,血液検査に携わる検査技師が遭遇するだろう血液疾患はほぼ網羅されています.血算データから病態診断までがQ&A方式で導かれており,血液検査に携わる検査技師の指導書として,また自己学習書としてぴったりな本です.検査技師は1日に数百という検体を扱うので,血算の時系列を全て確認することは困難ですが,この本では「血算を時系列で診る」という医師の視点を学ぶことができます.評者が検査技師になった頃は紙カルテだったので,患者さんの状態や投薬情報などを得ることは大変なことで,同じ検査室で測定している他の検査結果さえすぐに知ることが難しい時代でした.今は電子化されているので,検査技師でも,患者情報も血算の時系列も簡単に見ることができます.そういう意味からも,この本は時代にマッチしています.
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