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編集後記
竹本 忠良
pp.1258
発行日 1973年9月25日
Published Date 1973/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108563
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本号の編集方針は市川平三郎博士らの巻頭の論文がそのすべてを正確に示している.胃潰瘍の良性悪性の鑑別診断というテーマは日常もっとも重要で,毎日身をくだいて苦労しているわけであるが,内科診断学なみの鑑別診断学のレベルをはるかにこえ,しかも将来の問題点を鋭く,かつ豊かに示した諸論文を得たことは,「胃と腸」が依然若さを保ち健在であることを物語っているものといえよう.
市川博士が鑑別上の5段階を提唱されたことは,なお進歩を続けている早期胃癌診断学が日常当面する混乱を指摘し,整理されたものであって,この分類法は必ず普及し愛用されるに違いないであろう.病理,X線,内視鏡それぞれの立場から力作がよせられた.大岩博士の研究論文も大学病院ではむつかしい領域のお仕事だけに,たいへん興味深い.その他,症例はいつどの号を読んでもつねに新鮮であることに本誌の真価がある.
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