一冊の本
Early Gastric Cancer―A contribution to the pathology and to gastric cancer histogenesis
長与 健夫
1
1愛知県がんセンタ一研究所
pp.868
発行日 1981年8月25日
Published Date 1981/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108141
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ひと月ほど前,コペンハーゲンのヨハンセン博士(Dr. Aage Johansen)から私の手許に1冊の本が送られてきた,その包み紙を解き,表紙を見,内容を一瞥した時,私は今までにあまり経験したことのないやや複雑な感情-今時の若者がよく言う“ヤッター”という気持と,その裏返しである“出し抜かれたー”という感慨-を覚えた.A5判300ページほどの小じんまりした本ではあるが,その濃紺薄手の表紙には白字で「Early Gastric Cancer」とあり,その下には副題としてやや小さな字で「A contribution to the pathology and to gastric cancer histogenesis」と書かれている,昨今流行の分担執筆やシンポジウムの記録ではなく,彼自身の書き下したものだ.早速目次とともにヘージを繰ってみると,彼自身のデータを示す図表やシェーマが散見されるが,それ以外はタイプ打ちの記載で埋められており,巻末には数ページにわたる引用文献とともに,鮮明なマクロ,ミクロのモノクローム写真も載せられており,この本に対する彼の並々ならぬ情熱が一見してうかがわれる.
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