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書評「医療と教育の刷新を求めて」
相澤 豊三
1,2
1立川病院
2慶応義塾大学
pp.1240
発行日 1979年9月25日
Published Date 1979/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107768
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西洋医学を根幹として発達してきたわが国における近代医学の歩みは華々しい成果を挙げ,とくに伝染病のコントロールと乳幼児の対策が示した実績はまことに燦然たるものがあったといわざるを得ない.ためにわが国民の平均寿命は男女ともに75歳前後に達するに至った.しかしながら科学は万能かと描いた夢には思わざる陥し穴が待っていたことに近年気づきはじめてきた.今や生命の延長に伴う成人病の対策に手を焼くことになったのであるからまことに皮肉な現象ともいえよう.
およそ,疾病との闘いは治療および予防のいずれかが可能となればそれでよいのである.成人病の多くが慢性病であり,その治療が容易でない段階にある現在,一方では予防不能のものを可能とすべく努力が重ねられてゆくのは当然のことであり,そうした病気にならないように健康状態を保持増進することが要求されるに至り,それだけに医療の内容と規模は大きく膨れあがり,かつ著しく複雑化してきた.
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