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書評「医療と教育の刷新を求めて」
谷 荘吉
1
1東京大学医科学研究所内科
pp.838
発行日 1979年6月25日
Published Date 1979/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107708
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あれから20年という歳月が流れた.日野原先生から内科学の手ほどきを受けたのは,私が当時医学部を卒業したての,何ごとも自分の血肉に吸収しようとしていたインターン時代のことである.それは,日本でのプライマリー・ケア教育の発端ともいえる有意義な1年間であった.私が臨床医学の修練に第一歩を踏み出したときに,先生から直接に教えを受けることができたことは大変有難いことだと考えている.先生はあの頃,すでに優れた臨床家であり,また熱心な教育者でもあった.内科病棟への配置は僅か3カ月間に過ぎなかったが,その頃,病棟廊下のロビーで毎朝行われていたワードカンファランスやベッドサイドで先生からおききした教訓は,20年たった今日でもなお忘れることなく,私の脳裏にあざやかに焼きついているのである.内科診療における基本的な考え方,臨床医学の研究のあり方,その実践方法,臨床医のとるべき態度などについて,先生の説かれる根本精神を私はこの20年間,自分なりに実行してきたつもりでいる.
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