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書評「ホルモン産生腫瘍」
井林 博
1
1九州大学
pp.402
発行日 1978年3月25日
Published Date 1978/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107253
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国立がんセンター総長石川七郎博士,東北大学病理学笹野伸昭教授,京大内科井村裕夫教授らの編集で,わが国の代表的な研究者48氏により機能性腫瘍にかんする研究の全貌と今後の動向が見事に集大成されたmonograph「ホルモン産生腫瘍」がこのたび刊行された.石川博士は周知のごとくLiddle(1961)が異所性ACTH産生腫瘍のnew clinical entityを発表する以前に,多数の肺癌自験症例の観察から臨床的に異質で特異な臨床症状として色素沈着,多毛傾向,バチ状指や血漿17-OHCSの高値などの存在をすでに1950年代に指摘された.引続き厚生省がん特別研究班を構成すると共にFunctioning tumor研究会を創設され,わが国におけるこの方面の研究を情熱的に推進育成された先達である.笹野教授は文部省がん特別研究班「異所性ホルモン産生腫瘍の基礎的研究」の班長として,また井村教授は異所性ホルモン産生腫瘍の臨床的研究分野でともにわが国における文字通りのfrontierとして高名である.本書は編者らが序文その他で指摘されておるように欧米にもなお類書をみない世界的にもuniqueな著書であり,本書発刊の意義はきわめて大きい.
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