今月の主題 膵と胆道疾患
診断のすすめ方
膵ホルモン産生腫瘍の診断
遠藤 巌
1
Iwao ENDO
1
1琉球大学保健学部付属病院・第2外科
pp.1344-1346
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216665
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膵ホルモン産生腫瘍としてはgastrinoma, insulinoma,glucagonoma, VIPoma, somatostatinomaが知られている.それぞれ特有の症状,検査所見から疑いを置かれ症状を発現する主要ホルモンの血中濃度の上昇や薬物負荷試験への反応態度から疑いが強められる.これらの腫瘍はいずれも血管に富むため,血管造影によりほとんどの症例で腫瘍濃染像から局在診断を下すことができる.また,これらの腫瘍にはそれぞれかなりの頻度に悪性例がみられるので,血管造影により肝転移巣の状態をみておけば組織診断と治療方針を決める上に有用である.ただし,膵の血管腫,副脾,膵へ穿通した消化性潰瘍,大網塊などが本腫瘍類似の所見を呈することがあり注意を要する.近年,経皮経肝門脈内カテーテル挿入による門脈血中ホルモン濃度測定法が開発され,腫瘍の局在診断に有用であるといわれている.
以下,それぞれの腫瘍について述べる.
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