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書評「「進行癌患者のマネージメント―症状のコントロールと在宅ホスピス」Outpatient Management of Advanced Cancer」
鈴木 荘一
1
1鈴木内科医院
pp.75
発行日 1992年1月25日
Published Date 1992/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106681
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この本の著者ビリングス博士は,ボストンの下町で在宅を主とした進行癌患者の診療を行っており,またハーバード大学やマサチューセッツ総合病院専門家チームの一員でもある.その内科学の広い知識と患者の洞察から生み出され,実際的な具体策を丁寧に述べたこの本は,わが国で同じ志をもつ者にとって実に得難い,待望の指導書だと思う.また,著者に会いに行かれたという訳者の翻訳は,実に肌理細かく滑らかで,大変読みやすい.
本書の構成は3部に分かれ,第1部「症状コントロール」では,進行癌患者によくみられる疼痛をはじめとした様々な症状の診断と治療について詳細に記している.しかし本書の重点は,第2部「心理的・社会的な援助」と第3部「在宅ホスピス」である.第2部は5章に分かれ,(1)「身体ケアの役割一在宅ホスピスに伴う問題点」では,ケアの主体が家族であることを明確にしている.(2)「安心感を得る」では,そのための臨床的アプローチに,①定期的に顔を合わせること,②常に一貫した接し方をし,信頼を得ること,などを挙げ,患者との交流は信頼と傾聴が基本であると述べている.
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