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書評「Surgery for Cancer of the Esophagus」
掛川 暉夫
1
1久留米大学医学部
pp.1230
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111498
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本著書は,虎の門病院副院長秋山洋先生が,長年にわたる豊富な臨床経験に基づいた食道癌の治療体系のエッセンスを凝縮したものである.
秋山先生が東京大学,および虎の門病院でなされてきた研究は,一貫して極めて臨床に即したものであり,すべてが外科治療成績向上に直結している.わが国における食道癌手術の5年生存率が平均20~25%である現状において,彼の5年生存率が35%と群を抜いていることよりみても明らかである.この「Surgery for Cancer of the Esophagus」は,その治療成績を獲得するに至る彼の philosophy,techniquesを,貴重なexperienceに基づき集積したものである.すなわち食道癌に関する基本的な外科解剖や吻合手技から,最も高度な判断と手技を要する重複癌の手術などが網羅されている.更にそのうえ,文中に“臓器や組織はatraumaticにgentleに扱うこと”,“大きな手術も小さな手術の積み重ねであり,常に基本的な手術を疎かにしてはならない”という,彼の日頃のphilosophyが貫かれている.
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