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書評「癌患者の症状のコントロール」
福井 次矢
1
1佐賀医科大学総合診療部
pp.570
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102542
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本書は,癌患者のホスピスケアに先進的に取り組んできた2つの施設の医師とナースによって書かれた,癌患者のケアについてのマニュアルである.書名になっている,癌患者の症状のコントロールのしかた(第2章)には全ページ数の約3/4が割かれていて,わかりやすく,具体的な症状緩和の方法が示されているが,その他の章(第1章癌患者のみかた,第3章癌患者の在宅ケア,第4章家族のケア)の内容も大変素晴らしい.
第1章では,全人的ケアの真髄を簡潔に述べると共に,ここ数年間話題になっている医療従事者の側の精神衛生について原因と予防対策を示している.第2章では,癌患者の種々の症状について,コントロールするうえでの基本原則は「患者の自覚症状の軽減を第1に考えること」であることが繰り返し述べられている.第3章の在宅ケアについては,その現状と展望が,第4章の家族のケアについても,医師やナース,MSWの取るべき態度が示されている.
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