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書評「医の道を求めて―ウィリアム・オスラー博士の生涯に学ぶ」
岡安 大仁
1
1日本歯科大学内科
pp.478
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105781
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十数年前になるが,内科誌「medicina」に毎月『オスラー伝』を連載しておられた日野原重明先生に,初めからスクラップにして保存しておけばよかったと申し上げたところ,先生はいずれ本にするつもりだからと言われた.その後,「平静の心-オスラー博士講演集」や復刻版としての「医学するこころ-オスラー博士の生涯」(岩波書店)は出されたが,あの10年間にわたり112回に及んだ『medicina』の先生の労作の完成本をこそ私は心待ちにしていたのである.このような想いは私ばかりではなかったと思う.
さて,あの連載に多くを追加し,面目を一新した本書を手にして,私は改めてオスラーの偉大な業績とその人格の前に言葉を失った.また同時に,全身全霊をこめてオスラーに傾倒し,オスラーを現代に生かし尽くそうとなさる日野原先生の情熱と絶大なエネルギーと後輩達への奉仕の精神に言葉を失った.先生は冒頭に“日本の医学生と,医師,看護婦,そして医学に関心をもつ一般人にこの書を捧げる”と書いておられるが,オスラーの生涯を学ぶことこそ医の道を求めることだとの先生の生きた信念にほかならないと思うのである.
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