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書評「「標準麻酔科学」第2版」
高橋 成輔
1
1九州大学医学部麻酔・蘇生学教室
pp.44
発行日 1994年2月26日
Published Date 1994/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105703
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医学部学生および研修医が現代麻酔科学を学ぶうえで利用する教科書として,この本は優れている.第1版の序において編者の宮崎正夫氏が述べておられるように,近年わが国においても麻酔科学は広大な医学・医療の分野に展開しており,中心となる麻酔学のみならず,集中治療医学,蘇生学,救急医学,疼痛治療学,そしてプライマリケアやターミナルケアにまでその領域は及んでいる.
本書はこれらの領域をカバーするために,まず生体機能に関する基礎的考察を呼吸・循環・体液の主要機構について行い,次に麻酔と術前・術後の管理の基本的方法,第3になぜ麻酔がかかるのか,そして麻酔にはどんな方法があるかについて述べている.これは医師国家試験の基礎的理解事項として必要なものである.第4編は各科麻酔の特徴について,学生はもちろんのこと,麻酔科入局当初の研修医やローテイトしてくる研修医が,まずいろいろな麻酔を実施する際に必要な手引きとなる部分である.最後の部分には麻酔以外の活躍の場で行う関連業務の要点が述べられている.学生諸君が医学部卒業後いかなる臨床分野に進まれるとしても,この編に述べられている救急・蘇生・中毒治療法および疼痛管理やショックの治療などは,医師の基本的素養として最低限備えておくべきものであり,是非とも理解して身に着けてほしいものである.更に本書のブルー頁は,特に患者管理に必要な生体機能検査項目のまとめとして,手術室,ICU,CCU,そして病棟で利用するデータを整理して示してあるので,医師国家試験,麻酔指導医認定試験および各科専門医試験を受ける際のメモとして活用すれば有用であろう.
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