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編集後記
小池 盛雄
pp.124
発行日 1994年1月25日
Published Date 1994/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105674
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数年来,各種の学会で論議されてきた小さな表面型大腸腫瘍の定義や肉眼形態の分類は,本特集号にみるごとく,陥凹性病変を有するときには問題を含んでいることは明らかである.もちろんその背景に,病理組織学的診断基準が病理医により異なり,診断の統一がなされていないという事情があり,われわれ病理医の責任を痛感する.
陥凹性病変も周辺隆起やその周囲の軽度の隆起を伴っており,診断の方法による大きさの測定にも問題が生じてくる.これはひとえに大腸粘膜および粘膜筋板の性状や腫瘍の発育形態に由来するものであることも明らかになってきた.X線,内視鏡では伸展の程度により病巣がその像を変化させるように,固定時の伸展程度により,実体顕微鏡像や組織標本のルーペ像も当然変わってくる.伸展を一定にして比較することができないために,ある程度の混乱はやむをえないとしても,陥凹を伴う病変は,大腸癌の形態発生を考えるうえで重要な鍵を握る病変である.
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