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編集後記
小池 盛雄
pp.1210
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106605
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分類困難な腸炎といっても,誰が,どのようにして,どの程度に検索した結果なおかつ分類困難であったのか,という問題がある.したがってその頻度もおそらく各施設でまちまちであろう.本号主題の筆者はこの方面にも精通した人々であり,その論文は読者を引きつけてやまないところがある.分類困難な腸炎症例を抽出するには,既知の腸の炎症性疾患について全経過を通した臨床像や,病期による形態学的変化を熟知しつくし,そこからはずれていく病態を選別するという困難な作業を伴うもので,深い奥行を感じさせるからに違いない.詳細な臨床検討から“非特異性多発性小腸潰瘍症”が疾患概念として確立され,その後の臨床経過の追跡がなされたように,分類困難な炎症性腸疾患の中から更に丹念な検索により,新たな病態が確立されることが期待される.またGVHDの腸病変のような新しい医療に関わった新たな疾患も更に増加してくることも予測され,心して対応していかねばと感じている.それにつけても病変を十分に検索する環境整備が欲しいものである.
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