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編集後記
小池 盛雄
pp.114
発行日 1999年1月25日
Published Date 1999/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102940
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内視鏡像・X線像(一部)・切除標本像・ルーペ像をセットにして,25症例の表面型大腸癌肉眼分類が試みられた.個々の症例の判定では,診断基準の差が鮮明に浮かび上がってくる.大腸では粘膜,粘膜筋板が薄く,伸展の程度により形態が変化する.特に診断基準の差の1つであるⅡc病変の周辺隆起が変わり,切除例では固定の際の伸展の程度によりその形態が変化する.かつて,故白壁彦夫先生は症例検討にさいし,病理標本の固定は臨床像を全く反映していないとよく言われていたのを思い出す.新鮮切除材料と伸展固定標本では肉眼像が異なる.内視鏡像やX線像の空気量による形態変化と同様の関係にある.理想的に伸展固定した肉眼像が臨床像の裏付けとなる必要がある.現在の肉眼分類は,実体顕微鏡によるpit patternを考慮したり,組織発生を念頭に置いた分類など,それぞれ異なる要素を同一の規範に入れて考えているために混乱を招いているような気がする.表面型大腸癌の分類に使われている記号は早期胃癌のそれに準じている.凹凸を基本とした分類は単純であるべきで,組織発生を念頭に置いて分類する必要はないのではないか.いずれにせよ,消化管疾患に関するオピニオンリーダーとしての本誌は,単純,かつ早期胃癌と共通性を有する分類を構築する責任があるのではないか.
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