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書評「画像診断のための知っておきたいサイン 第2版」
伊藤 勝陽
1
1広島大学放射線科
pp.814
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105143
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“例えば電話で相談を受けたとき,フィルムを直接見ることができなくても,何々サインがあると,言われたら,誰もが一定のパターンと鑑別診断が思い浮かべられるよう,サインを普及させよう”が,専門医試験に取り組んでいた先輩の言であった.Felsonが1950年に命名したシルエットサインはサインの有用性をわれわれに認識させ,また放射線専門医試験もサインを普及させる役を担ったように思える.人局後間もなく放射線専門医制度が設立され,それを受けようとしていた先輩たちは,不得意分野やあまり馴染みのない領域のサインを憶えてとりあえず知識を増やそうとしていた.筆者も,本書初版の序に記載されている西岡清春教授著の「Roentgen signs特定の呼び名のついたレントゲン・サイン」を随分活用させていただいた.この本は本邦で初めてサインをまとめたテキストブックであったが,今では若い人があまり興味を持たない単純写真,消化管造影検査,経静脈的尿路造影,血管造影におけるサインが記載されていた.
今手元にある「画像診断のための知っておきたいサイン」は,先ほどのいわゆる古典的なX線診断のサインのほかに,最近のモダリティーを反映しCTやUS,核医学などの画像診断のサインがわずかではあるが加わっている.しかし画像を正確に診断するにはまず病変を拾い上げ,鑑別診断をリストアップできるようにという基本的な姿勢は西岡先生の著書もそうであったが,この本でも貫かれている.
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